海域アジア遺産調査 概要

海域アジア遺産調査(Maritime Asia Heritage Survey: MAHS) は、京都大学東南アジア地域研究研究所のR.マイケル・フィーナー が主導となって、モルディブ、インドネシア、ベトナム、タイの沿岸および島嶼地域の歴史的建造物や考古学遺跡のデジタル記録に取り組んでいます。

南アジアのモンスーンの季節的な循環は、何世紀にもわたって広大な海域のヒト、モノ、コトの交流を促進し、多様で複雑な文化のモザイクを生み出してきました。一方で、この地域は、サイクロン、津波、海岸浸食、地盤沈下、海面上昇といった自然の脅威に加えて、近年の急速かつ無計画な開発、さらには故意の破壊行為によって、豊かな歴史を体現する多くの文化遺産が脅威にさらされています。

このような危機に瀕した文化遺産を記録するため、海域アジア遺産調査の現地調査チームは、GIS、RTKマッピング、空中および地上からのLiDAR測量、フォトグラメトリ3Dモデリングビデオ、CAD、国際標準のIIIF に準拠したデジタル写本 など、最新のデジタル技術を駆使して文化遺産を記録しています。全てのデータは、研究者、文化遺産マネジメントの専門家、政府関係者、地元コミュニティなど様々な人々が活用できるようオンラインアーカイブで公開されています。なお、プロジェクトの活動成果やその他のデジタル遺産は、京都大学とオックスフォード大学の図書館に恒久的に保存される予定です。

海域アジア遺産調査は、リズベット・ラウジングとペーター・ボールドウィンにより設立された慈善基金のアルカディア基金の助成によって運営されています。